近年、「フラットな組織」が理想であるかのような風潮を目にすることも珍しくありません。

東南アジアにおいても、GoogleやMetaのような欧米系企業が採用しているかのようにみえる“フラットっぽい”制度や文化に憧れる企業が増えています。
しかし、本当にフラット型組織が優れているのでしょうか?
PandaTestはあえて「ヒエラルキー型組織」を推奨しています。それには深い理由があります。

「欧米=フラット型」という誤解

まず多くの方が誤解しているのが、「欧米企業=フラット組織」というイメージです。
確かに欧米の職場では、従業員が自分の意見をはっきり言う文化があります。会議で若手が経営陣に異議を唱える場面も珍しくありません。

しかし、これは文化面の話です。構造面では、欧米企業のほとんどは明確なヒエラルキー型(階層型)です。文化面と構造面を分けて考える必要があります。
たとえば、上司が部下の評価や昇進を握っていたり、目標設定がトップダウンだったりと、「組織のルール」としてはむしろ厳格な縦の関係が存在します。

なぜヒエラルキー型が重要なのか?

特に製造業や金融業、IT受託開発のように、マネジメントにおいて効率や再現性の担保が求められる分野では、ヒエラルキー型の構造が非常に有効です。
PandaTestが提唱するヒエラルキー型とは、「上司が目的(戦略)を決め、部下がその達成手段(戦術)を自由に考える」スタイルです。
命令にただ従うだけの上下関係ではありません。ヒエラルキー型=軍隊っぽいというアレルギー反応をしてはいけません。

例えば、日本企業が海外進出を検討する場合、国の選定や達成すべきマイルストーンは経営陣が決めるべきです。
任命された社員が「自分はケニアが好きだからケニアに進出したい」と言い出すようでは、ビジネスとして成立しません。

東南アジアの会社文化と「見せかけのフラット」

東南アジアで企業と話をしていると「フラットな組織=自由」「ヒエラルキーな組織=不自由」という幻想をお持ちの方に出会うことも少なくありません。

しかし、これは文化面だけを切り取った誤解であり、本来東南アジアの文化にも、「上の意図を汲みつつ、自分で工夫する」スタイルは非常にマッチします。
かつてサッカーベトナム代表が好成績を残した時期も、まさにこの「文化的にはフラット、構造的にはヒエラルキー」なスタイルでした。
監督は韓国人で、一躍国民的スターになりました。

つまり、本来東南アジアには強いヒエラルキー型の土壌があるにも関わらず、
それを「時代遅れ」と誤解し、無理にフラット型を目指すことはむしろ逆効果であり、組織の強みや国の良さを損なうリスクさえあります。

フラットの演出より、構造の健全化を

GoogleやMetaが“フラット風”な制度を導入するのは、あくまで採用やブランド強化のマーケティング戦略な側面もあります。
彼らはトップレベルの人材を集めるために、「自由」「裁量」「オープンさ」を演出していますが、
組織の奥を見ればしっかりとした評価制度や階層構造があります。

PandaTestは、**「文化はフラット、構造はヒエラルキー」**というバランスが、
東南アジアにおいてもっとも成果につながると考えています。

そして、これは決して「旧来の管理型組織への回帰」ではなく、「戦略と自由が共存する、現代的なヒエラルキー型」なのです。
企業文化に正解はありませんが、成果につながる構造には共通点があります。